だって弟はいないんだ。 この世にいないんだ。 一緒にサッカーをする事も、真似ばっかするアイツの頭に手を置くことも、笑い合うこともないんだ。 俺は雪を恨んだ。 運転手も恨んだ。 けど、雪さえ積もっていなければと思ったんだ。 あれは『天災』だったのかもしれない。 なら、雪がない所へ行こう。 俺はバカで、単純で、それが一番良い方法だと信じて疑わなかった。 それで、雪とは無縁の場、沖縄に来たんだ。