「はーあ。これで、よしとッ」

うれしそうな彼の声がする。


「お待たせ。ごめんな、せっかく来てくれたのに待たせちゃって」
「ううん」

ワタシが待たせることだって
たくさんあるのに
いつも優しいんだ。


「ね、おとなしく待ってたから、キスして」
「えっ」

とまどう彼を無視して、
ワタシは目を閉じて、
彼に顔を寄せていく。


彼の手がワタシの肩にのり、
だんだんと彼の息を顔に感じる。


その瞬間、ワタシは彼に内緒で
目を開けるんだ。