【短編】大好きなメガネくん

「ごめんな、ちょっと仕事が残ってんだ。キリつけちゃうから、待ってて」
「うん」

彼は椅子に座ると、パソコンと向き合う。
ワタシは部屋の真ん中に、ちょこんと座る。


カチカチと
一生懸命キーボードをたたく音だけが、
小さな部屋に響く。


「あっ、テレビつけてもいいよ」
「うん」

パソコンと格闘しながら、彼はそう言う。
ワタシのこと見ていなくても、気を使ってくれるところが好き。


でも、ワタシはテレビはつけない。
一生懸命パソコンとにらめっこしている彼を見ている。


キーボードから離れた手が
かけているメガネを上げる。


あっ、これで3回目。
ふふふって心の中で笑うの。