『綾!ご飯〜!』 母の高くよく響く声に呼ばれて、わたしは目を覚ました。 リビングには弟のコウがもう座ってトーストを食べていて、ハンガーには綺麗にブラシがかけられたわたしの制服が掛かっていた。 『おまえ、なんで毎朝起こしてもらってるんだよ。目覚まし時計持ってるだろ?』 「うっさい。あれ音が小さくて起きられないの!」 いつもの朝、いつものコウとの会話。ただ違うのはわたしが今日から高校生と言うことだけ。