だって。

こんなんなったら、キャラなんて崩壊しますよ。

そもそも、私のキャラって何よ。

どんなイメージよ。

どんなだっていいけれど、公衆の面前で恥をかかされる為に、私は仕事してるんじゃないもの。

残業は嫌だけど、終わった時の達成感とか、仕事が終わった後の解放感が好き。

確かに毎回毎回ってなると、ブツブツ思うし疲れるけれど、それだって、終わってみれば楽しかったりするし。

確かに事務方だから、目に見えての目標値はないけれど。

書類の作成で、グラフが見やすかったと言われれば嬉しいし。

急ぎなんだと言われて、時間内にどうにか出来た時も嬉しいし。

誤字があったと指摘されれば落ち込むし。

そんな、地味で些細な事が幸せだったりするし。


急激な変化は必要だけど。

もちろん行動力も大事だけれどさぁ。


「解った。暴走してる倉坂は私が釘さしてあげるけど、アンタはどうしたいわけ?」

「…………」


どうしたいんだろう。


「嫌なら振ってあげるのも、いい薬よ」

「や。罰したいわけじゃありませんから」

「じゃ、付き合うの?」

「……そこまで親しいわけじゃありませんし」

「難しいわね~」

「そうですね。と言いますか」

「……言いますか?」

「謎が多すぎる人に思えます」


咲良さんは、とても笑いたいような、それでいて困ったような、そんな顔をした。


「私も、同意するわ」


その後フロアに戻った咲良さんは、皆の見ている前で、倉坂さんにデコピンをした。


倉坂さんは無言だった。


謎過ぎる。