「ちょ、ちょっと待てよ、ないない!それは、絶対!誤解だって言っただろ。それに、俺が好きなのは……!!」
勢い余って言いかけた言葉を私は焦って呑み込んだ。
ここで、返事すれば、晴れてゴールイン?
ダメだ。
普通のカップルみたいに手を繋げるわけでもなくてキスできるわけでもない。
でも、何とか誤解を解かなきゃ。それにチャンスは今しか――。
「私が、私が好きなのは!!理玖なんだからっ!!」
「えっ……?」
今まで見せたことのない驚きの表情をした理玖が、暫くポカンとしてたかと思うと、今度は息を吹き返した様に声を上げた。
「お前、何、言ってっ!!どう見たってお前らはっ!!」
「声!声でかい!静かにしなきゃ聞こえるっての!」
慌てた理玖が教室のドアに目を向けた。

