指名を受けた途端、明らかに嫌そうな顔をした理玖が、何かを言いかけたかと思うと、傍にいた男子が素早く口を塞いだ。
「その人、駄目だったかな?」
「大丈夫、大丈夫。照れてるだけだから。ほら、行ってこいっての」
突き飛ばされる様な勢いですれ違っていく理玖を横目に、私は、指定された机へと足を運び、席に着いた。
「こんにちわ。ご指名、有り難うございます」
「よ、よろしくお願いします!」
丸顔で大人しそうなその子は、肩まであるサラリとした自然な栗色の髪を揺らし、ペコリと頭を下げた。
「えーっと、じゃあ、まず、君の名前聞いて良いかな?」
「朝野 千恵(アサノチエ)です!」
「千恵ちゃんだね。俺の名前は、中嶋美夜。好きに呼んでね」
何だかお見合いっぽいな。
会話に不安を抱えつつも、できる限りの笑顔をし、カップのお茶を差し出した。

