理玖が無口になったのも、クラスの苛めが原因だったって聞いてる。
「その後、コイツ、俊先輩の事良く思ってない奴らから呼び出し喰らったんだよ」
「別に理玖を呼び出す事ないじゃん。先輩に直接言えば良い……」
と、私の声を遮る様に、ポツリと茗が呟いた。
「出来ねえから、弟の方呼び出したんじゃねえの?先輩を呼び出すってことは女を敵に回すって意味でもあるしな」
卑怯だ――。
だけど、……なぜだろう?
呼び出した奴らを攻める気持ちにはなれなかった。
例えば、自分が先輩を好きだとしたら、先輩を呼び出した奴らをきっと嫌うに違いない。でも、呼び出した奴らだって、片想いしてたり、モテたい気持ちはあるわけで。
もどかしい気持ちだけが残ってしまう――。
「まあ、この行事は、面倒でも大人しく文化祭にしとくのが妥当だわ」
やれやれと首を振る恭平を見て、理玖は微かに笑っていた。
その時、理玖のおでこに数センチほどの古傷がうっすらと残っている事に気づいた――。

