恭平なら浴衣を着てきそうなイメージも持てるけど、まさか理玖まで浴衣で来るなんて。



「これは理玖んちのだよ」

「理玖の?」

「アイツんち、呉服屋だからな」



そういう事か。浴衣姿が道理で浴衣姿がさまになってるはずよね。

タピオカジュースを買いに出掛けた理玖に見ながら、私は一人納得した。




「けど、やっぱ浴衣とか暑いのな。人が多いってのもあるけど…」


食べかけのかき氷に飽きたのか、パタパタとうちわを扇いだ恭平は、額の汗を拭った。

と、その時だった。

人混みの間を一際大きな声が駆け抜けたのは……。



「ごめんなさいっ!!」