夏の夜空に大きな花火が打ち上げられていく。 「きれいだね、茗」 「……」 「茗ー」 「煩せーな」 「んー、もう。いつまでむくれてるのよ。そろそろ機嫌なおせば?」 かき氷をほお張る恭平をチラリとみつつ、私は小さな溜め息を吐いた。 と、言うのも、すっかり忘れていた夏祭りの誘いが来たのも昨日のこと。 絶対行かないと言う茗の話から一変、恭平は、「お前が行かないなら美菜だけ」と、言ってきたのだ。 もちろん、美菜に化けてる私をほったらかしにする訳にもいかず……。