夜、叔母さんが作りおきしてくれたカレーを温めながら、不器用な手つきで野菜を切る茗からトマトを奪った。 「茗ったら、相変わらず料理ダメだね」 寮の部屋にもキッチンはあるが、茗が使う事はほとんどない。 あると言えば、恭平や理玖が荒らした後片付けをしたり、気が向いた時、炒め物をするくらい。 「茗は洗い物担当でいいから、カレーまぜて」 「おう」 カチャカチャとカレーを混ぜはじめた茗を横目にサラダを作りながら、私はふとあることを思い出した。