男装しても女の姿でも疲れるなんてな。ウィッグを整え直した私は、溜め息と共に、茗の方を向き直った
「茗、私の財布」
「……」
「どうかしたの?」
「何でもねえよ、ボーッとすんな。ほら、財布」
「何よ、置いてきぼりにしたのは茗の方じゃん」
「歩くの遅せーからだよ」
「走ったじゃんか」
「そうだっけ?」
すっとぼける様に歩き出した茗は、チラリと私を見たかと思うと、急に足を止めた。
「早く来いよ」
ぶっきらぼうに差し出された手に戸惑ってしまう。
「大丈夫だよ、別に手まで……」
「言ってるだろ。歩くの遅っせーから。それだけだし」
「……うん」
子供の頃はよくこうやって手を繋いでた。
同じくらいだった背丈は段々追い越されて……今はもう、こんな風に先を歩く茗が、どんな顔で歩いてるか分からない。

