「さっき君が走って行く時、落ちるのが見えたんだけど」
振り返ると、優しげなスーツ姿の男性が私の財布を手にしていた。
「有り難うございます……」
って、ウィッグ、外しちゃってるし!
どう説明しよう!?
その時、先を行っていた茗が戻って来た。
「おい、美夜?何やってんだ……って、お前」
「あっ、茗。これは……」
今の私、スッゴいまぬけなかっこうじゃん?
「彼氏かな?彼女、僕が追いかけちゃったから驚いてそのウィッグ外しちゃったみたいなんだ。不審者だって思ったかな」
「そうなんすか。このバカが、すみません」
「まあまあ。追いかけた僕も悪かったし。これ、財布ね」
私のかわりに財布を受け取った茗は、「有り難うございます」と、頭を下げた。

