その日の夜は、オバサンメイドが作ったと言う夕ご飯を食べた。

美味しかったけど…味が薄かった。



「飴食べる?」

「あっ、良いです。
あたし、飴苦手で…」



基本好き嫌いなく食べるあたしだけど。

飴だけはどうしても駄目だった。



「そうなんだ」



先輩は飴玉を口の中に放った。

…その姿さえ綺麗で。

見とれてしまった。




「…どうしたの?」

「何でもないです…」



「そういえばさ」と、先輩が切り出した。




「足の痣…どうしたの?」

「………」

「もしかして…お兄さんにやられた?」

「………」

「………」



先輩は黙って、あたしの手を握った。

まるで…壊れ物を、壊さないように……。

優しく…。