「これはその…転んだんです……」

「転んだ…?」

「はい。
打ち所悪くって…。
前髪のせいでバレないかなって思っていたんですけど…バレちゃいましたか」



アハハと笑って誤魔化しては見るけど…。

…鋭い先輩が気が付かないわけなかった。




「本当に?」

「はい。大丈夫です」

「なら…良いんだけど……」



先輩は尚心配そうな瞳を、こちらへ向ける。

切なくて…今にも泣きそうな瞳……。



「何かあったら、俺にすぐ言って。
前にも言ったと思うけど、俺…望愛ちゃんが大事だから。
望愛ちゃんが傷つくことは絶対にしない。
望愛ちゃんが笑顔になるためなら、どんなことも惜しまないから。

…望愛ちゃんが辛い時は…いつでも俺を頼って。
俺は…望愛ちゃんの味方だから……」




先輩…。

そんな優しいこと…言わないでくださいよ……。

そんなこと言われたら…あたし……。







泣きそうになるじゃないですか…。




ううん、

泣きそうになるんじゃない。




もう…

泣いているよ……。