「何があったんだ」
「ッ…わたし…」
「ゆっくりでいいから話してみろ」

男の姿が歪んで見える
同族には蔑まれ、陰口を言われ誰にも優しく声を掛けてもらったことがない。
初めて受けた暖かな言葉…
悲しみじゃなく、嬉しさという気持ちが溢れ少女の大きな瞳からたまった涙が零れ落ちる。



「私は…生まれつき翼が生えてなくてッ、私と同じくらいの子供たちは皆綺麗な真っ白な翼がはえてるのにッ…
わたし…いつまでたってもッッ…どんなに待ってもはえなくてッ
両親にも、気味悪がられて嫌われてっ!
私っもう疲れたの…
天界にも戻れない…こんな知らない所でやっていける自信もないッ」

「なら、俺についてこい」
「え…」
「テメーに人間界での過ごし方を教えてやる」

浮遊感を感じる
腕を引っ張られ躰が地面から離れる
フラフラな躯を精一杯の力を振り絞り倒れないように男の腕を掴んだまま上を見上げる

「私の話を信じてくれるの…?」
「嘘ついてんのか」
男の問いかけに一生懸命首を左右にふる

「いくぞ」
「ッ……はい!」

深い青、その青に溶けこむように浮かぶ白い雲、全てを照らす聖女のような存在゛太陽゛
絶望し、黒く荒んだ心に希望が湧いてくるのを感じる


飛べない天使…
一時の間、呪縛の様に縛られ続けたその言葉に解放された様な生まれて初めて感じた゛生きたい゛とゆう気持ち