【短編】ヤクザのキミ。





え、と目を開ける。


それはずぶぬれの人だった。




「へぇ…」


「…離してください。塾が…」

「そんなとこより、楽しいとこあるぜ…?」




巧な言葉なんだろうか。

凄い惹き込まれそうだ。



「…怖がらなくていいんだぜ?

ここにいる奴らは、

そう簡単に手を出さねぇからな」




「…でも怖くて」


「ふぅん…、声も顔も。身体も。

全部俺の好み」




やだ…。


彼の言葉が凄く響いてくる。




きゅぅっと胸の奥が、高鳴っていく。