俺は言えなかった

ーー無理に笑うな。

って。

海「どうしたの?黙って。」

「いいや。なんもねぇよ。」

海「そう?」

「ああ。それより今日お見合いだろ?」

今は放課後。

今日は海美のお見合いがあるとかなんとかおばさんが言ってた。

おばさんとは海美のお母さん。

海「うん。」

「…はあ。」

海「なんでため息?」

「別に…。」

変なの

そう海美は呟いた。

いつもお見合いにやってくる男は
ほとんど…全員が地位と海美の美貌を求めてる


そんな奴らに海美を渡してやるかっての

「…ねぇ。」

「なんだ?」

「なんでいつも私といるの?」

「うーん…何と無く?お前いっつもドジするし。馬鹿だし。」

「なんか悪口にしか聞こえないんだけど。」

「気のせいだって。ほら早く帰るぞ。」

俺はどさくさに紛れて手を握って家まで急いで泳いだ。