私はこの唯一の純愛と、中年夫婦の日常茶番の二作を通じ、妻と私が生きた証を誰かに伝えたいと思ってきました。
私の拙い文章力でどこまで伝えられたかは疑問ですが…

あまりにも突然に、そしてあっけなく終わってしまった私達の幸福。
遺されてしまった悲しみに押し潰されそうで、何かをせずにはいられませんでした

私達は幸せだった
それを誰かに伝えたかっただけです。

同情してほしいわけでも、慰めてほしいわけでもありません。

私は幸せです。
失ったことを、これほどまでに悲しめる相手と出逢えた。
それは何よりの幸せです。
そんな相手と僅かな時間でも一緒にいられた。
同じ気持ちで傍にいてもらえた。
これほどの幸福が他にありましょうか?

妻に笑顔をあげられたこと、妻に最後の瞬間まで愛情を注げたこと、妻が死してなお愛してると言えること、私の人生で最上の喜びです。

だから私は悲しいのです。

しかしこの悲しみは私と妻だけのものです。

私が伝えたいのは悲しみなどではありません。

私達が幸せだったこと、ただその一点です。

私の悲しみの中から、僅かでもそれを感じとっていただければ幸いです。

いつかこの作品を一から作り直したいですね。
もっと沢山の人に読んでもらえるように。