毎日のように繰り返されているという息子の問題行動。
二人との仲が進むにつれ、私も目にする機会が増えていく。

その夜も、突然彼は暴れ出した。

理由は、一人で遊んでいたゲームが思うように進めないから。

そんな理由でも暴れるのか。

下手に口出しするとかえって長引く。
ほっとけばすぐに収まる。
接し方も解らぬまま、ただ見守る事しか出来ない私。

が、その日は違った。

彼が妻を殴ったのである。

無意識でした。
気がつくと私は、彼の頬を平手で張っていました。

彼も、そして妻も、何より私自身、驚いていました。

妻が殴られ、咄嗟だったとは言え、子供に手を挙げてしまった。

しかし、これを見過ごしてはならない。
今ここで止めなければ、彼はずっと止まれない。
そんな気がしました。

私は気持ちを鎮め、彼に優しく語りかけました。

お前の手は、おかんを殴るためにあるんじゃない。
おかんを守るためにあるんやで?

何度もそう諭しました。

優しく、包み込むように抱きしめたまま、何度も言い聞かせました。

息子は俯いたまま泣いていましたが、解るな?と、問い掛けると、静かに頷きました。

この頃から、彼は少しずつ暴れなくなってきました。

暴力はいけません。
しかし、時には愛の鞭も必要だと私は考えます。

体罰は教育上、何の効果もないと医学的に証明されているという話を聞いた事があります。

本当にそうでしょうか。

もしそうであるならば、体罰の無くなった現代の子供達は、健全に育っているのでしょうか。

私見ですが、今の子供と、昔の子供を比べて、明らかに今の子供の方が多くの問題を抱えてる気がします。

もちろん、体罰が無くなったのが全ての原因だとは思いません。
様々な要因が複雑に絡んでいるのでしょう。

ただ、私の息子はあの日以来、良い方向に向かいました。

大人の怖さを知った事で、私の存在が抑止力となったのであれば、何の効果もないとは言い切れないのではないでしょうか。

無理に抑えれば、別のところにしわ寄せが来るとも聞きますが、社会に出ればあらゆる抑圧に耐えなければなりません。

そんな事、大人なら当たり前です。

子供の頃は何一つ我慢する必要がなかったのに、大人になった途端にあらゆる事を我慢しなければならない。

そんな乱暴な話があるでしょうか。

要はしわの寄る先を正しく導いてやればいいだけなのではないでしょうか。

欲しい玩具を我慢させる。
そのしわ寄せはクリスマスなり誕生日なりに回せば良い。
それだけではないでしょうか。

体罰も同じだと思います。

効果がないのは、ただの暴力なのではないでしょうか。
明確な目的と、確固たる愛情があれば、子供にも伝わるのではないでしょうか。

暴力では何も解決しない。
話し合いで解決すべきだ。
私に言わせれば、そんなものは世間知らずの幻想です。

実際、そう言っている方で、私を納得させてくださった方はいません。

人対人である以上、言葉だけで全てを理解し合える事なんて有り得ません。

話が脱線しましたが、決して体罰を肯定してるわけではありません。
ただ、体罰の全てが悪だとも思わない。
私はそう思っている、と言いたいだけです。