好きになってしまったの。

口が悪くて、すぐ不機嫌になって、でも誰よりも人の痛みに寄り添ってくれる、キミをーー好きになってしまったの。


もう、溢れ出る想いが、我慢できなくて、自分勝手だってわかってたけど、言ってしまったの。



ーーだけど。まさかこんなにも冷たい視線を向けられるとは思ってもいなかった。



「───瀬、戸内くん?」

「…………」



どんなキミも好きだけど、たまにしか見せない笑顔が、一番、愛しい。


泣きそうなキミは、見てるだけで、辛くてたまらなくって。胸がはち切れそうになる。



「……なんか言ってよ」

「ごめん、無理」



ーーごめんね、本当にごめん。

わたしは、ただ、キミに笑って欲しかった。

たまに、彼は自分がこの家にいていいのか、不安そうにするから。

わたしはあなたを必要としてるよ、って。存在意義を、示したかった、だけだった。


「……無理、なんだよ」

「………」


そんな顔、させるつもりはなかったんだ。

ごめんね。