暴走族に愛された不登校女子。





直樹が来て、この状況を見られたらまずいからとりあえず静くんとはここでバイバイ。



もう1度携帯を開いて、メールを確認する。



「あ。蒼太じゃんか」




『杏~、暇だし母さんがうるさい…』



「全く…」



蒼太の家は賑やかで本当に楽しそうだった。

あたしは時々羨ましく思ってしまうときもあった。



「蒼太のお母さんは優しかったもんなぁ…」




美味しいお菓子とか用意してくれて。


あたしのお母さんとは本当に別人だった。




独り言が虚しくなって、窓を少し開いた。すると静くんが丁度帰っているところだった。




「あ、静…」




呼びかけたとき、1人の男が静くんに近寄る。


そして喧嘩が始まっていた。




「……荒れてる」



昔の静くんと違っているように見えるけど、やっぱり怒ったときと同じようにも見えた。