-6年後の今-
目の前に静くんがいて、抱きしめられて。
現実なのだと安心する。
「あのー…、お取り込み中悪いんだけどさ。2人は幼馴染だっけ?」
話を割って入ったのが、智さんだった。
あたしは静くんの椅子に半分座らせてもらった。
「そうだね」
物凄く懐かしい。
強くて、しっかりモノだった静くんがちゃんといるのだ。
「そっか。……ちょっと俺、直樹探して来るな。2人でゆっくりしてて」
「うん…ありがと、智さん」
「おぅ」
智さんが部屋を出て行って、あたしと静くんは2人きりになる。
「…元気? 杏は」
「うん…! 凄く元気だよっ」

