「……空はきれいだね」
「そうだね」
「だな」
沈黙を静くんは破って、静かに話し始めた。
それをあたしと蒼太は時々相槌を打った。
「僕は今まで、怒ったことなんてなかった。
だけどいやだった。杏がいじめられてる、なんて。もう見たくなかったから」
「静くん…」
「静っ! お前よくやったじゃねぇかよ!!」
蒼太がそういうと、静くんは安堵のため息を零した。
「すっきりした」
「よかったじゃん」
蒼太も静くんも笑顔が戻っていって、あたしも安心した。
「……僕、明後日転校するんだ」
「え」
皆の心が1つになったのが、きっと今だったのだ。
だから突然、友達がいなくなるっていうのが受け入れられなかった。

