それを聞いた女の子は勿論大泣き。
クラスでも静くんは怒らせちゃいけない、と言われた。
「…もう行こう。僕ここにいたくない」
静くんがあたしの手を握り締めた。
その手が微かに震えていた。
「蒼太、行こう」
「お、おぅ…」
あの日、静くんが怒鳴ってくれたからあたしの苛めは一時期なくなった。
顔がいいだけで苛められる。
それがなくなってとても嬉しかった。
あたしにとっての静くんは、ヒーローそのものだった。
3人で授業を抜け出したのは、初めてで少しわくわくした。
時々あたしは教室にいたくなくて、1人で保健室に行くことはあったけど。
静くんは俯いたまま、中庭で足を止めた。
日の当たるところで思い切り寝転がり始めたのを見て、あたしも蒼太も一緒に寝転んだ。

