窓の鍵を開けると、蒼太が入ってきた。
「…お前の親、荒れすぎじゃね? 俺の家まで聞こえて皆心配してんだけど」
「いつものことだから…」
「辛かったよな?」
「え…?」
「あんなん、聞いてて辛いよな?」
「蒼太…」
「お前は我慢しすぎなんじゃねぇの?」
「我慢…」
6歳なのに蒼太は知っている言葉が多い。
あたしはそれが素直に「凄い」と思い、尊敬していた。
温かい涙がまた溢れて、蒼太を抱きしめていた。
静かに蒼太の鼓動が聞こえてそれだけでも安心した。
「大丈夫。杏は俺が守るから」
そう言って背中を優しく撫でてくれた。
お互い、布団に入らず座ったまま。
親の罵声は全くなくならないから、そのまま一緒に寝ちゃったっけ。

