暴走族に愛された不登校女子。




最後に蒼太と遊んだのはいつだっただろう。


「今日はカラオケ行こう。前に新しく出来たんだよ」

「そうなんだ??」


蒼太の表情はいつもより、清々しく見える。




「…やっぱ避けてないって言われると嬉しいかも」


「え…??」


「ずっと避けられてると思ってたから」




蒼太が寂しげに微笑んだ。


その言葉があたしの胸に突き刺さる。



「何か誤解させてごめんね…??」


「いや! 全然いいんだよっ。俺は、杏と話せるだけで十分なんだからさ」



蒼太が笑うと、やっぱり切なくなる。




あたしがどうして家出をしたのか。


直樹のこともちゃんと話さなきゃいけない。




だけど…、今は深刻な話をするよりも、蒼太が元気になるようなことをしたいのだ。




「蒼太、久しぶりにはしゃごうよ!」


「そうだな」



あたしが満面の笑みを浮かべて、蒼太の前を歩く。



「着いた!」


蒼太が足を止めて、あたしもその店を見上げた。