「…フン。むかつく」
あたしの髪を思い切り掴んだ。
先生は見過ごして行ってしまう。
学校で髪を切られるなんて、無様としか言えない。
「…何してんだよ」
「っ! 蒼太ぁ」
「何してんのか、聞いてんだよ!」
小呉が泣く前に、声を荒げた蒼太。
何でいつも救ってくれるのだろう。
「あの人がねぇ、うちを苛めるのぅ」
…“いい子”ちゃんは、嘘つきなんだよね。
あたしは昔から1回も嘘なんてつかなかったのに。
「杏がするわけねぇだろ。いい加減にしろよ…」
「蒼太ぁ。信じてくれないの?」
「小呉のことは信じたかった。だけど杏を苛めるやつなんか信じられない。
それどころか、嫌いだ」
その言葉に小呉が大声で泣いた。
周りの男子が声を荒げる。

