学校に着くと、上履きを一応確認する。
その日もやっぱり上履きはなかった。
新しいものを買うお金もないし、
今日もスリッパで。
先生は気づいているのに、何も注意しない。
そりゃ、相手が校長の孫なのだから当たり前だ。
「っきゃぁ」
肩に誰かがぶつかった。
(まずい…、小呉じゃんか)
少しだけ青ざめる。
「…いったぁい。ぶつかんなくたっていいじゃなぁい」
「…ごめん」
「もぉー、頭きたっ! アンタ、退学させるんだからぁ」
退学…。
ついに来たか。
いつかは来るとわかっていたよ。
「…いいよ。別に」
「はぁ? 親が困るわよぅ。こんな出来損ない娘のことをどう思うのかしらぁ?」
「…親なんて呼べる人いないし。勝手にすれば?」
あぁ。
はっきりと言って、すっきりする。
何?
校長の孫だからって偉そうな口を叩かないで。

