「なぁ、静」



幼い頃、僕と蒼太はよく2人で遊ぶこともあった。

杏には話せないことを、男同士でよく話していた。






その話せないことっていうのは、

お互いの気持ちだった。





「……いつからなんだろう」


「何が?」



蒼太が寂しげに呟いて、空を眺めていた。





まだ僕が、転校する3日前の話だ―…。







「俺な、杏が好きだって思うのに…。妹だって皆に言っちゃってさ…。


杏、酷く傷ついた顔してた」





「え…?」


「なぁ静。俺はダメなヤツだよなぁ…」





「…いや。皆思っても見ないことを言っちゃうことあるよ」




僕がフォローをするように言うと、蒼太が少しだけ救われたような表情を浮かべていた。