「じゃあ、杏は俺が貰っていいですか?」 それを聞いて、皆驚いた。 お母さんも少し目を見開いて、直樹を見つめた。 「……貴方。いい目をしているじゃない。 杏がそれでいいのなら、構わないわ」 「ありがとうございます」 直樹がそう伝えて、あたしを抱き上げた。 「じゃあもう帰ろうぜ。俺、家帰って寝たいし」 「……直樹、空気ブチ壊しだよ」 お母さんが少しだけ笑みを零した。 「杏帰ってきたかったらいつでも来て頂戴。 彼も一緒に」