「美沙、来てくれてありがと」


「ふん…。智といたかっただけよ」




「……そう」





相変わらず、智さんにベタ惚れな美沙。


そんな2人を見ていると、





後ろからぎゅっと直樹に抱きしめられた。





「俺だけを考えろよ」


「…いつもそうだから」


「そ」



直樹は満足そうに頷いた。

それでも抱きしめる力は変わらず、ただぼんやりと海を眺める。






「あ。パパから電話だわ」



小呉がそう言って、携帯を耳に当てた。



美沙が小さく「ファザコン」と呟いたのは、聞かなかったことにしよう。