暴走族に愛された不登校女子。








誰かを苛めることは、苛立ちを誤魔化せると思った。



ただそれだけの理由で杏を苛めてしまった。





ある日、お兄ちゃんは言った。






「…俺、別居すんだ」



「え…?」


「じゃあな、小呉」



「待ってよ、お兄ちゃんっ…待って……」







かけがえのないものが、一瞬で消えてしまった。

うちが悪い子だから。




お兄ちゃんはいなくなったの?







ねぇ、お願い。




貴方にまで捨てられたら、うちは生きていけないの…。




どうして今更、貴方を欲しがるのかな…?