ただ、お金じゃなくて。
自分を見てくれる人が、もう1人いてほしかっただけなのよ。
…けれど。
彼は結局お金と、体目当てだった。
汚い体にされた後、うちを捨てた。
お金には手を出さなかったわ。
でもうちの心は、お金なんかよりも消え去りそうで。
生きているのが辛くなった。
どうして、うちはいつも悪いことしか出来ないのだろう。
苛立ちから何にも悪くない杏を苛めていた。
お兄ちゃんを使ってまで、自分の醜さをどんどん増やしていった。
うちは綺麗。
うちはきっと、いいことをしている。
そんなはずないのに―…。

