うちには、友達はいらない。
お兄ちゃんがいるもの。
決して独りじゃないわ。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「あぁ、小呉。なんだい?」
貴方だけはいつだって傍にいてくれたわ。
うちが間違ったことをしても、
「お前は悪くないよ」って言ってくれた。
だから信じていたのよ。ずっと。
美沙のいじめから逃げるように不登校になった。
学校なんて所詮、居心地が悪いところなのよ。
中学生になって、ようやく美沙から解放されたときのことだった。
お兄ちゃんの知り合いと出会ったの。
とてもカッコいい人で、うちを溺れさせるくらい愛をくれたわ。
だけど別に愛が欲しくて、彼に溺れたんじゃない。

