「…そっか」
あたしから離れた直樹は、背中に腕を回したまま額をくっつけた。
「俺はどうすればいい?」
「見返すんだよ」
「見返す?」
オウム返しのようにあたしの言葉を繰り返した。
「悔しいなら、見返すの。
自分はこんなにも強くなったって」
「…あぁ」
何かを考えているのか、それとも思い出しているのかは分からない。
ただ、背中に回している腕に少しだけ力が入ったのを感じた。
「喧嘩でも何でもしちゃおう?
復讐を目的じゃなくて、相手とわかりあうために」
「綺麗事ばっかだな…」
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