「分かりました」
後に聞いた話だと、兄貴は直樹って人と仲良くはないらしい。
直樹さんに兄貴の彼女が誰なのか、バレたらまずいようだ。
だから、俺は直樹さんといるようになった。
何故だかはわからないまま。
皮肉だけど、
俺は本当のダチを見つけることが出来た。
ひび割れた世界に、
たった1人だけ俺を2番目として見なかった。
兄貴がいなくなってから、母さんは嬉しそうだった。
毎晩俺の好きな料理を作ってくれた。
今まで愛せなかったから、その隙間を埋めようとしているのだろう。
俺は少しだけ、直樹さんには救われていた。

