「あれ?
俺の兄貴知ってるんですか」
「…あぁ」
俺は軽い嘘のように、柏に呟いた。
「なぁ…お前が前に言ってた
“俺がやってしまったことは、最悪なことへと導いたから”
ってどういう意味なんだよ」
「あぁ、覚えていたんですか?」
「当たり前だろ。てめぇ、ダチじゃねぇか」
「…皮肉ですが、嬉しいですね」
「素直に嬉しいだけでいいだろ」
「……ほんっっとうに、皮肉でいっぱいです」
そう吐き捨てるように言う柏の瞳には、涙が溜まっていた。
「俺は誰かに深入りはしないと、そう決めていたんですが…。
貴方なら、こんな俺でも聞いてくれるかも知れないですね」

