不意打ちとかずるい。


赤くなった頬を隠すために、直樹から視線を逸らした。






「俺は、杏の彼氏なのか?」



「え…?」







「曖昧なの、俺嫌いなんだけど? 俺の彼女になりたい?」



直樹は意地悪そうな笑みを浮かべた。



「…な、なりたいかも…」




頭から布団を被ると、直樹のくすぐったい笑い声が聞こえた。





「可愛いヤツじゃん…やっぱ」



そう呟いて、布団越しに抱きしめられる。



「俺の嫁だかんな」


「よ、嫁!?」





「不安なんてすぐになくしてやるよ…」



甘い声でそう囁かれたら、もう後には戻れないのだろう。







その後、朝ごはんを食べてそれぞれ学校へ向かった。



駅まではバイクで送ってもらい、直樹はそのまま行ってしまう。


寂しい思いと早く会いたい気持ちが心に積もっていった。