「そっちのほうが、大問題だな」




直樹は呆れ顔で言って、バイクの鍵をポケットから出した。







「…じゃあ最後だな」


「え?」





智さんもあたしも不思議そうな表情を浮かべる。




「俺が人を殴るのは、これで最後だ」



「…絶対、まだ殴るでしょ」


「確かに。あたしも思う…」





「捨て台詞くらい、言わせろ」




そっぽを向いた直樹の顔が、少し赤かった。


智さんの視線があたしと交わる。






「杏ちゃん……、嘘をついてごめん。


俺は許してもらうつもりはない。



でも今度からは、正々堂々と挑むつもり」