それだけで、胸のつかえが取れる。 「よかった」 「だから、何でそんなこと聞くんだよ」 「…気まぐれ?」 「バァカ」 頬を軽くつねられた。 「いひゃい…」 「嘘つくの、へったくそ」 「…馬鹿」 ぱっと頬を離されて、手で押さえる。 「不安なとき、いつも杏は悲しげに見てくるだろ」 「嘘、本当に?」 「あぁ」 「…あたし直樹には、嘘つけないかも…」 「言わないと、悪戯すんぞ」 「っへ」