それは言えないと俺は思い嵐に言った。 「その彼女……に会えないか?」 『んー…頼んでみる』 「あぁ。じゃあまた連絡してくれ」 『了解ー』 嵐との電話を切ると、智が食いつくように身を寄せた。 「何てっ…?」 「今は何も言えない」 「…っ」 「でもソイツは、明らかにお前が言う高校に通ってる。 なぁ……もし浮気だったら、どうするんだよ?」 その時、智が初めて俺を殴った。 俺は軽く吹っ飛ばされて、その場に滑る。 驚いて智を見れば、大粒の涙を沢山流していた。