俺は携帯をポケットから取り出すと、 「……アイツに聞くか」 そう言って電話をした相手は嵐だった。 嵐は俺等より年上で、 その高校に通う、俺の友人だ。 『もしもーーし。直樹?』 陽気な声が聞こえて俺は手短に説明をした。 「とにかくその男を探せ」 『分かった、でもソイツ。彼女いるぜ?』 「あ?」 『わぁ、怖い。何かふわふわって感じの、ソイツに似合わない女が。 俺だってこの前、キスしてるとこ見たし』 それを聞いて智に視線を向けると、不安そうな表情を浮かべていた。