傍から見れば、凄いバカップル。
何て言わないけれど。
「今日だけだからね?」
「おぅ。多分な」
直樹がそれだけを言うと、先に浴室に行ってしまった。
あたしは天井を見上げた。
「お父さん……、あたし大人になるかも…」
小さく呟いて、部屋を見渡した。
そして直樹の元に走った。
お父さん。
あたしはこれからどうすればいいのだろう?
お母さんがいなくなって、
どこにいるかも分からないのに。
それなのに、
あたしはまだ理解できていないんだよ。
もう1度温かい家庭に戻れるって、
ずっとそう信じているのだから―…。