「ふー…。楽しかったな」
「…疲れたぁ」
「まーまー。無事にここに来れたじゃねぇか」
「…ここってどこ?」
街が一望できるところで、辺りには人が誰もいない。
だけど絶景とも言えるくらい、綺麗だった。
「イルミネーション綺麗…。そういえば11月だもんね…」
パーカーをきゅっと握り締める。
「寒いなら早く言えよ」
「べ、別に…」
言い訳をしようとすると、直樹が上着のチャックを開けてあたしを包んだ。
「温かいだろ?」
「…ありがと」
直樹の体温が高いのか、凄いドキドキした。
「…俺、ここに1人で来るんだ。気分転換したくってな」
「…そうなんだ」
「何にも景色は変わんねぇのに、皆は変わってく。
俺はそれが凄ぇ怖い」

