「今日の朝、バイバイしたんだよ?
会った時から、それって……どう思う?
一瞬で元に戻るとでも、思ってんの?」
本音じゃない言葉が溢れる。
すると、直樹の手のひらがあたしの頬を包んでいた。
「元には戻らない。
それはわかってる。だけど、俺等が離れたのは経ったの1日じゃねぇかよ…。
戻れなくたって、今から戻していけばいいじゃねぇか」
「……直樹から突き放したくせに」
「智が言ったんだよ。お前は親から離れて、俺に甘えてるだけだと。
俺はただ、居場所を貸してるだけで、
お前は早く家に帰りたがってるって…」
大きな嘘を聞いて、あたしは何も言えなかった。
「…あたしは幸せだったんだよ」
そう言って直樹にキスをすると、直樹も静かに目を閉じた。