「離してよ…、惨めな思いになるじゃんか…」
孤独にされてきた人生。
蒼太だけは、あたしをほっとかなかった。
いつだって、傍にいた。
傷つくことは言っても、それは嫌っている意味じゃなかった。
疑わなくて。
あたしを信じてくれた。
「直樹は……、結局あたしを誰かと被せてる…」
あたしは直樹と暮らしているうちに、気づいていた。
あの家は、昔誰かと住んでいたことを。
未だに直樹は引きずったままではないかって。
「俺の……母さんと、被せてた」
その声を聞いて我に返ると直樹の肩が震えていた。
「謝るから……、離れんなよ…」
まるで傷ついた子供のように、静かに泣いていた。
今日は、本当にすれ違ってばかりじゃん…。

