「ありがと、蒼太」
「改めて言うなよ」
蒼太は笑おうとしたけれど、上手く笑えていなかった。
「ずっと頼ってばかりで、ごめんね…。
蒼太の気持ち。あたしやっと分かったよ」
―「妹なんかじゃないから」
―「あの時は嘘をついてごめんな。それじゃ、また遊ぼうな」
あの言葉を言ったときの蒼太の瞳は、直樹があたしを見つめるときと同じだった。
どうして気づけなかったのだろう。
瞳を見ろと教えてくれたのは蒼太だったのに。
そう言うと、蒼太の頬に涙が零れ落ちた。
「ありがとな…」
「ううん…」
昔と変わらない、泣き虫な蒼太。
あたしを好きでいてくれたこと。
本当に嬉しかった。
「……ほら、行けよ」
精一杯背中を押そうとしてくれて。
どれ程感謝を伝えても伝えきれない。
「どこに?」

