「……家具がない」
「え?」
蒼太も入ってきて、驚いていた。
あたしは言葉を失くしたままだった。
家に上がると、リビングには何1つなかった。
静まり返る部屋を見渡した後、2階に上がると自分の部屋を見つけた。
扉を開けるとあたしが出て行ったときと同じで、家具は残っていた。
部屋の真ん中にあるテーブルに紙が置いてあった。
それを拾い上げると思わず涙が零れ落ちる。
「お母さん……、再婚するって」
「…嘘だよな」
「嘘じゃない…」
紙には「ごめんなさい。再婚するので、家を空けます。
どうするかは、貴方次第だから」と書かれていた。
「あたし……、もう捨てられたんだよ」