「駆け落ちした。



生きているのかは、分からないんだ。

会うことも出来ない。



でもメールしたり電話したり。

俺や、彼女が会いに行ったり来たりして。



お互いに本当に愛し合ってた」







智さんの抱き寄せる力が強くなっていく。


震えているのも、伝わった。







「……大丈夫。


彼女は生きているはずだから。

だからさ、彼女が奪われたなら、また」






「でも俺はもう、他に好きな人が出来たんだ…」





「っ」





あたしの視界いっぱいに、智さんの顔が見える。



そして頬に何かが触れた。